3月になり気温も上がって春の気配が感じられます。

 

診療室では歯の周囲が膿んでいる患者様が多く来院されています。

日本での根管治療が失敗しているという根拠になる論文があるのでご紹介します。

 

上のグラフは東京医科歯科大学虫歯外来で調査した根管治療における根尖部X線透過像の発現率です。(失敗率を表わしている)

歯の歯髄(神経・血管)を除去した患者さまが東京医科歯科大学のむし歯外来に来院しレントゲン写真を取り、その時に根の先に病気が見つかったこと、つまり歯の周りが膿んでいる場合の発現率、治療が失敗した割合を表しています。

東京医科歯科大学の須田教授の論文からの引用です。

上の図では、根の治療は3割~5割しか成功していない。
たとえていうとイチローの打率みたいなものです。
言い換えると7割から5割失敗するということです。

わが国の歯科医師が行う根の治療が半分以上失敗だとしたら皆様どのように思われますか?

須田教授はこのように仰っています。

日本の歯科医師が歯内療法を行う環境は困難を極めてている。保険診療における歯内療法の低評価は誰でもが認める事実であり、米国の一般開業歯科医による根管処置料金の中央値(2007)は、わが国の社会保険診療報酬の7倍以上である。
また、日本歯科医学会が2005年に発表したタイムスタディー調査結果から算出すると、大臼歯の根管処置において、審査から根管充填までの合計所要時間は2時間以上である。

解り易く言うと、日本では根管治療は不採算部門なので成功率が3割~5割であり、時間がかけられず無菌的な処置が行われていないことが根管治療が失敗する理由です。

 

次に根管治療の値段の国際比較をご覧ください。

 

 

アメリカで12万円以上する根管治療の費用が何と1万円です。

 

日本の異常な費用の安さに注目してください。

 

次に症例をご紹介致します。(ホームページで記載することは患者様から許可を頂いています)

 

 

こちらの患者様は根の先に鈍痛があるという訴えで来院されました。

歯の中に細菌感染、神経の取り残しがあり根の先に膿がたまり、そのために私が根管治療したCT画像です。

3ヶ月後に鈍痛という症状が消失して、骨が再生していることが解ります。

 

違う角度から、観察します。

 

 

治癒しています。

 

マイクロスコープとCTを使用した米国式根管治療の成功率は素晴らしいです。

 

 

日本歯周病学会歯周病専門医 吉川 英樹 拝