根管治療をした後はかなりな確率で痛みや腫れが起こります。これをフレアーアップと言いますが、いくら注意をしても避けられないことがあります。フレアーアップを起こす確率は文献では最高20%です。私は一度だけですが、このことを患者さんにお話することを忘れてしましました。すると患者さんは怒りを抑えきれない様子で、私(歯科医)が歯の中をいじったからこんなに痛み、腫れたのですぐにどうにかしろと烈火の如く怒っています。心情は察します。

患者さんにとっては「痛み」というのはひどく悪い病気にかかったという捉え方をするようです。私たち歯科医師にとっては痛みというのはあくまでも、体から発する信号であり、病気の重大さとは関係のないものだと思っています。極端に言えば「痛みのある病気」は大したことがないのが常であります。痛みのない病気、例えばガンや高血圧等の病気の方が重症であることが多いです。患者さんの怒りは私の治療により歯の状態がものすごく悪くなったと思い込んだのでしょう。

このようなフレアーアップといういう痛み・腫れが起こる理由は慢性炎症が急性化することによるもので、根尖病変のある歯に起こりやすく、術前に痛みのある歯は術後にも見られやすく、オーバーな器具操作により見られやすいとされています。

こんな時、説明しなかったことがつくづく悔やまれますし、この事件以来、患者さんとの人間関係は悪くなるし、歯医者というのは因果な商売だと思います。

しかし、この事件で一つ学びました。歯科の臨床では、最初に説明しておくことが最も大切で、これが逆になると人間関係は破壊されるので、説明は何より重要ななものです。

フレアーアップ、恐ろしいものです。