最近、私たちの医院では「この歯は残せないないので抜歯してインプラントにした方が良い」と前医で言われた方が多くご来院下さいます。

 

インターネットのお陰で患者様は色々な情報を得ることが出来ます。

抜歯する前に、出来れば可能な限り歯を残す方法を試みるべきですね。

 

こちらの患者様は2020年3月に「20年前に治療した歯がたびたび腫れた」と訴えてご来院くださいました。

 

CT画像をご覧下さい。

CTは立体として見ることができるレントゲン写真なので色々な角度から患部を観察します。冠状断 coronal像

矢印の部分が骨が消失して膿が観察されます。

歯の内部の神経・血管に細菌感染を起こし、そのために歯の根の先に病巣を認めます(矢印に注目)。

 

矢状断 Sagittal断面

 

違う角度から観察してもレントゲン上で黒く見え膿が溜まっているのでしょう。

 

水平断 Axial断面

 

マイクロスコープを使用しエルビウムヤグレーザーで根管治療を行ったのですが残念ながら病巣は残り改善しませんでした。根管治療後3ヶ月のCT像です。

 

根管治療で治癒に導けなかった理由は根尖孔外感染と言って細菌が根っこの外に出て行ってしまいそこではびこっていることが原因と思われます。

 

このような場合、まだあきらめるのは早急です。外科的に感染がある部分をカットして除去します。今回は意図的再植術という方法を行いました。

 

 

意図的再植術7ヶ月後。左が術前、右が術後のCT画像です。

 

インプラントではなく御自身の歯を残すことはとても価値のあることです。

 

吉川英樹 拝