Tokyo 2020も今週開幕となり間近に迫って参りました。

 

ブログの更新が疎かになりましたがこれからも皆様に有益な情報を発信して参ります。

 

さて、インプラントの周囲には歯肉が必要か?という議論はずっと歯周病学的に
インプラント学的に論議されていましたがやはり必要性はあると思います。

 

もしインプラント周囲に歯肉がなく口腔粘膜が接しているとインプラント体と歯肉の付着している部分がなくプカプカと動いてしまい、そこからインプラント周囲に細菌感染を起こし最悪な場合、インプラント周囲炎という結果を引き起こしてしまうからです。

 

歯、インプラントに付着している歯肉は発生学的に天然歯の周囲にある歯根膜から発生
しているので歯が抜歯されると供給源がなくなり頬っぺたの粘膜が顎堤に攻め込んできます。インプラントを埋入する場所に歯肉がほとんどない状態になってしまいます。

 

 

 

上の写真は神奈川歯科大学、インプラント科教授の児玉利朗先生の著書

「インプラント・歯周再建治療のティシュマネージメント」から引用させて戴きました。

 

そこで、インプラント周囲に歯肉を作る手術を行いました。

術前は顎堤に2mm程度の付着している歯肉を認めます。

 

 

上の写真の患者様では2mm程度、歯肉が存在するのでテルダーミスというコラゲンを骨膜に縫合して歯肉を作る手術を行いました。(ヨードを使って濃く染色されているのはほっぺの粘膜、薄く染色されているのは歯肉)

 

手術後のコラゲン・テルダーミスを骨膜に縫合した写真です。

 

 

このテルダーミスというコラゲンはやけど等で皮膚を失った時に皮膚を再生するために使わています。それを児玉先生のグループが歯科用に開発したものです。縫合し易いように表層はシリコン層でメッシュ補強されています。このコラゲンは数週間で歯肉に置き換わりますので歯肉再生誘導法と名付けられています。

 

 

日本歯周病学会専門医 吉川 英樹 拝