写真をご覧下さい。
2本の歯の根っこの先が黒くなっているのが解ると思います。
向かって左側に見える歯の中には白く治療された跡を認めます。
こちらの患者さんのお話ではこの歯は2年前に治療を受けており、被せ物の隙間から細菌が入り根管治療を受けたそうです。
2年前に歯の中に細菌が存在することにより炎症反応が根っこの先に出来て、根の先に膿が溜まった状態であったことが想像出来ます。
そのために根管治療を受けたのですが治癒には至らずレントゲン上で根の先が黒くなりそこに病気があることが解ります。
今回、患者さんにとっての一番の問題は、その隣の歯(その右側に見える歯)に、先月から痛みがあり、近隣の歯科医院を受診してレントゲン診査の結果、何らかの原因で歯の中に菌が入り、歯の中で炎症が起こり骨も溶けているとの診断をされたという訴えでした。そこで歯科医師が歯を削ってみると神経が完全に死んでおり麻酔なしでも痛みはなかったということでした。
そこで患者さんは、ネット上で色々な情報や知識を求めて検索したそうです。
製薬会社に勤務されている方なので医学的な知識は相当豊富な方なのでしょう。
当医院に初診で受診された時には「前に治療した歯の根の先の病変が隣の歯に感染したのでは?」とおっしゃていました。
私もこの患者さんが仰る通りだと思いました。
目で確認してもレントゲン上でもこの歯は治療された跡が見られません。
ということは根の先からの感染ということ以外考えられません。
このように推理できる能力を持った患者さんの存在にも驚きです。
虫歯菌は隣の歯に移ることは皆さまご存知だと思いますが、根尖性歯周炎・根の先の病巣も隣の歯に移るのです。
CTを撮影してこの病巣が繋がっていることを確認しました。
今後は2本の歯をマイクロスコープとCTを使って根管治療致します。
根の先の病気は痛みがなくなると治療する気持ちがなくなるかも知れませんが隣に移ることあるので適切に治療することが重要です。
日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝