こちらの患者さんは数年前に私が詰め物をしました。その後、何となく歯がしみたり、少し痛かったりという訴えでした。

さらに、数年後に咬むと痛かったりしたのでCTを撮影致しました。

すると根の先に膿が溜まっているのを観察しました。私が詰め物をしたのに痛みという症状がでて愕然として残念です。

 

言い訳をさせていただくと、数年前に詰め物をした時は歯髄の電気診ではプラスで歯髄(神経・血管)は生きていると診断しました。通常は歯髄が生きているということは感染がない状態と考えそのまま詰め物をしたということです。

 

ところが詰め物をした時点で不可逆性の歯髄炎(健康に治癒することがない歯髄炎)になっていて、その後悪化して歯髄壊死を起こし細菌感染により根尖に膿が溜まってしまったという結果になりました。

歯髄の診断は非常に難しく電気診断で歯髄が生きているという時(神経細胞が生きている)も、歯の中に血流がない重篤な歯髄炎を起こしていることがあります。血流が阻害されればやがて、歯髄が死んでしまうのは容易に想像出来ますね。

歯髄が死ぬと細菌は一気に根尖に向かって侵入してきます。その結果、根の先が膿んでしまいました。

 

幸い、マイクロスコープ(顕微鏡)とCTを使った根管治療により3ヶ月後に治癒を認めました。

 

 

吉川英樹 拝