画像は患者さんの許可を戴いて掲載しています。

先日、白い歯の詰め物が虫歯になっていたため、やり直しをした患者さんの一つ奥の歯の銀歯が虫歯になっていると思い外すことにしました。(白い詰め物の下には虫歯が広がっていたという記事を参照下さい)

この患者さんの銀歯の下はほとんど虫歯だらけになっているのです。

Leica Picture

上の写真では歯と詰め物の間に隙間があることが明らかに観察されます。クリックすると大きく拡大されるのでご覧下さい。
麻酔をしてからラバーダムを装着し銀歯をはずします。

Leica Picture

やはり虫歯が大きく広がっていました。
なぜ、このようなことが日常茶飯事に起こるのでしょうか?
日本では数年で歯は再治療になると言われています。
他の先進国ではこのようなことは稀でどこかがおかしいのでしょう。

銀歯の虫歯を防止するのは日本の現状からみると非常に難しいと思います。保険制度の問題が絡んでくるからです。日本は健康保険制度が非常に整備されています。その内容はとても詳細に決められていて驚くほど低いです。銀歯一本を入れて5000円くらいでしょうか。(私はここ数年銀歯をいれたことがないのでこの値段が正しいかどうかわかりませんが)

日本の保険診療は出来高払いです。つまり、一本の虫歯に対し丁寧にじっくり時間をかけ治療を行う歯科医師と、すぐに歯を削り、10分足らずで治療を済ませ患者さんをベルトコンベアーの上に乗せて扱う歯科医師とで治療報酬に差が出ることはありません。どちらも同じ「虫歯治療」として同じ報酬が支払われることになります。低い保険報酬の中では良い治療をするのに限界があるのが現実で、そのためこのような良くない銀歯の治療がおおいのでしょう。

マイクロスコープを使用して虫歯を取り残さないように時間をかけて慎重に。削る必要のない歯を削らないために精密に。虫歯の再発を防ぐために正確に。といった要素が虫歯治療には必要になってきます。しかし、現状の保険制度だけでは歯の寿命を長く持たせることは非常に難しいのです。

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日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝